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V 考察

今回私たちは、学生が対象を理解し、安全安楽な全身清拭の技術が習得できるよう、また、学生が主体となって行動できるよう再現性のある指導案を考えた。
手術後2日目の患者では、清潔の保持と共に肉体的負担の軽減も十分考慮しなくてはならない。
私たちは、対象の状態によって看護行為の持つ必要性が変わり、援助方法も選択しなくてはならないということを、事例を通して学ばせたいと考え指導案の目標に置いた。
指導案を作る過程の中で、私たちは以下のことを学び得た。
?@1つ1つの行為に対し、科学的根拠が必要であると同時に、深く掘り下げていく過程の大切さ。
?A学生に指導するにあたり指導者が自己研鎖に努め、知識と技術を習得することの大切さ。
?B学生のレディネスを知る必要性の再認識と、意図的に関わることの大切さ。
?C学生に指導する指導者の責任の重要性。
臨床教育における臨床指導者は、指導案をもとに、学生の持っている能力を引き出すような指導をしていくことが必要であり、今後の課題と考える。
おわりに
指導案作成の過程の中で、「指導案の持つ意義」や「方向性」が見出せず、行きづまることが度々あった。そのため、その都度自分たちの看護を振り返り、討議を重ねた結果、自分たちが行っている看護の中にも、科学的根拠のない習慣化しているものが多くあることに気づいた。
今後は、出来上がった指導案はもちろんのこと、そこに至った検討の過程を大切にし、さらに自己研鑚していきたい。
参考文献
1)岡崎美智子:基礎看護技術その手順と根拠 メジカルフレンド社 1994
2)延近久子:臨床実習指導のプロモーション ユリシス出版部 1992
3)Virginia Henderson 荒井蝶子他監訳:基本的ニードと援助 1980
4)辻秀男:手術とからだ 中公新書 1996
5)馬場一雄他:看護M00K 看護の清潔 1982
6)川島みどり:目で見る患者援助の基本 医学書院
7)氏家幸子:看護実践シリーズ 臨床看護技術の実際 中央法規出版
8)宮崎徳子化:実習指導案要綱づくりの過程、3年課程の場合 看護展望 Vol17、No2

 

 

 

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